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2015.11.08

高くても売れる。価格競争をしないでお客様の心をつかむ技術をスノーピークから学ぶ。

高くても売れる。価格競争をしないでお客様の心をつかむ技術をスノーピークから学ぶ。

「良いものをより安く」ではなく、「良いものを今よりも高く」。
そんなブランド戦力が最も重要なテーマとなっている中小企業。
いかにして商品価値を高め、高価格でも市場の容認を得るためには・・・
そんな課題のヒントがアウトドア用品を開発するメーカー「スノーピーク」にありました。
スノーピークの行っている活動をひも解き、小さな会社の強いブランドづくりをご紹介いたします。

自分が欲しい製品を作ったら市場の16倍の価格になっちゃった。

年間60泊もキャンプをしているという無類のキャンプ好きで有名な山井社長が、当時のキャンプ用テントに不満があったことから始まります。
当時のテントは価格が9800円〜19800円程度のテントが一般的でしたが、そのようなテントは耐久性が低く、雨や風に弱い。
せっかくキャンプを楽しみたいのに雨漏りはするは、風が吹けばテントが倒れるようじゃ、キャンプなんて楽しくない。大っ嫌いって当然なるでしょう。
そこで絶対に雨漏りはしないし、生地の劣化が起こりにくく永久保証が可能なテントを開発。
自身がテントに求める機能性を追求した結果、テントの価格が16万8000円になっちゃった。
当時の社員はそんな高価なテント、誰が買うのかと笑ったらしいんです。
ですがこのテント、一年間で100張り売れたとの事。
これが国内にキャンプ愛好家のハイエンドユーザーが現れた瞬間だった。

沢山の人に使ってもらうのではなく、1人の人に沢山使ってもらいたい。

スノーピークの製品は競合他社の製品と比べ、圧倒的に高い価格が付けられています。
それは品質が良いというだけでなく、スノーピークが提供する世界観そのものによる価値付けだと考えます。
例えばスノーピークはむやみに客数を増やすのではく、熱狂的なファンづくりにこだわっています。

そのために、山井社長が行ったのは流通改革でした。
顧客との接点である店舗での商品説明能力を重視。
製品のこだわりを丁寧に説明し、愛好家同士でしか通じえない会話の提供です。
当時、1000店舗あった販売店を厳選した結果、250店舗に縮小。
卸会社との取引も中止し、小売店舗内にスノーピークインストアを設けるなど、徹底した説明能力の重視を行っている。
この事が功を奏し、スポーツ店店舗の平均年坪販売額95万円に対して、250万円という約2.5倍ほども売り上げている。

スノーピークの社員が顧客と交流するイベント、snow peak way。

スノーピーク

年に6〜9回程度行われる顧客と一緒にキャンプを楽しむイベント「snow peak way」。
全国のキャンプ場を巡り、100名ほどの参加者とともにキャンプを楽しむ。
一年間の参加者は5000人程度、またsnow peak way以外でも春と秋に行われる雪峰祭には8000人もの人が集まるらしい。
このようにリアルに顧客とつながるコミュニティが上手く形成されている。
ファンは製品開発現場の生の声を知ることが出来るし、また顧客の要望や指摘が新たな企画に繋がる。
このような場は、よりブランドへの愛着心を高め、ファンが新たなファンを呼ぶという事に繋がる。
熱烈なスノーピーク愛好家が自社製品の説明をしてくれる訳だ。
多額の広告費用を使わず、イベントを通じて口コミでの商品認知が上手くいっている好事例だと思う。

snow peak way
雪峰祭

ものづくり職人が根付く燕三条という地場産業へのこだわり。

スノーピーク

スノーピークらしさは地場である燕三条という場所にある。
様々な製造業が集積している燕三条に根付く、製造技術、品質、素材を活用し、地場の製造業者、加工業者と地の利を活かした密接な関係を保つことで、世界レベルの品質と開発力を発揮している。
例えばキャンプで使う消耗品であるペグ。
これまでペグってなくしやすく、消耗品として考えられていたため価格の安いジュラルミンが主流で、およそ1本200円程度が市場の価値であった。
だが、スノーピークは燕三条という金属加工の集積している地場産業の歴史にこだわり、この地で伝わる素材、鍛造技術を使って固い地盤にもへこたれない強靭なペグを開発し販売。価格は1本420円。
ここにスノーピークらしさがある。
どんな小さなものでも使いならして、道具を大切に使っていくというマインドと、地場の製造技術を活用しているというストーリーだ。
このこだわりもファンを魅了してやまないのだと思う。

まとめ

スノーピークの製品が高いのには理由があります。その高い製品を購入する人にも理由があります。
それはスノーピークの品質の良さはもちろんの事ですが、つくり手と使い人が同じ価値観であるという事。
売れる道具を開発するのではなく、自らが欲しい道具を開発し、熱心、丁寧に製品の魅力を説明し、時には愛好者と共に道具と自然を味わう。
スノーピークが競合他社よりも高価格でありながら売れ続けている秘訣は道具愛を通じたその世界観。
感性に訴えかける価値の創造なのでしょうね。

http://www.snowpeak.co.jp/

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