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Columnコラム

ITトレンド

2022.06.30

DXの導入で成功した企業事例を5つ紹介

DXの導入で成功した企業事例を5つ紹介

前回、DX(デジタルトランスフォーメーション)の本当の意味ついて、背景を含め説明させていただきましたが、今回は実際に各業界でDXが活用され成功している事例を「飲食業」「製造業」「不動産業」「建設業」「教育」の5つの業界からピックアップして紹介いたします。

飲食業:マクドナルド

マクドナルドを初めとするファストフード店では、入店と共にレジ前の列に並び、自分の番が来れば注文。そして、その場で出来上がりを待ち、商品を受け取り席に座るという流れが主流でした。
しかし現在マクドナルドでは「モバイルオーダー」と「テーブルサービス」という新サービスを開始し、お客様の利便性を向上すると共に、企業としても高い効果を出しています。

顧客目線では、「モバイルオーダー」を利用することで列に並ぶこと無く商品の選択から、決済完了までがスマートフォンだけで可能になるのため、ストレス無く商品の受け取りができるようになります。
また、「テーブルサービス」では、テーブルまで直接スタッフが商品を持ってきてくれるシステムで、列に並ぶことが困難な方や、お子様がいて席から離れることができないといった方にはとても便利なサービスになります。

企業目線では「モバイルオーダー」を利用することで、ゆっくり商品選びをすることができるということもあり、客単価の向上を狙うことができ、金銭のやり取りもオンライン決済で行われるため、会計ミスやオーダーミスといったことも無くなり余分なコストの削減にも繋がります。
また、このコロナ禍での感染症対策にも一役買っています。

このような新サービスは一時的な売上の向上や、コスト削減が目的というわけではなく、「モバイルオーダー」を利用することで、年齢や性別などに基づいた購入傾向をつかむ「マーケティング」に活用できることはもちろんですが、例えば、商品選択時に新商品のページを見たが、戻って別の商品を選んだという傾向が多い場合は、商品の写真や価格、説明文などに問題があるといった、店舗で選ぶときには得られない情報まで得ることができ、新商品の開発などにもつなげることが可能になります。

このようなモバイルオーダーのシステムはスターバックスやすき家などでも導入されており、このコロナ禍の影響もあって今後より普及していくと思われます。

製造業:AGCグループ

ガラスメーカーのAGCはAIソリューションを事業とするFRONTEOとタッグを組み「匠KIBIT」というシステムを開発しました。
「匠KIBIT」はFRONTEOが持つ自然言語解析AIエンジン「KIBIT®」を基盤とした、ガラス製造AIのQ&Aシステムとなります。

AGCで行うガラス製造には様々な技術が組み合わさっており、技術者には高い技術力が求められていました。その高い技術は他社との差別化につながっている反面、技術者間の情報の共有や、若手技術者への技術の継承が大きな課題になっていました。
「匠KIBIT」では、熟練の技術者が持っているガラス製造におけるノウハウが蓄積されており、他の技術者が簡単に参照することが可能なシステムです。
他の技術者が参照する際には、質問したい内容を入力することで、KIBIT®が質問の内容を学習し、スコアリングを行い、これまでの質問の中から一番近い質問に紐づいた回答を質問者に提示することが可能になります。
もし、近い回答が見つからなかった場合は、質問内容から適切な熟練技術者を推定し、回答の依頼・回答を行うことで、新たな情報を蓄積していきます。

技術は時代やトレンドによって変化していきます。
同じ情報を後世に伝えるわけではなく、使われなくなった技術も継承していくことで、情報自体に厚みが増し、今後の人材教育や会社の発展につなげることが可能になっている例となります。

不動産業:SREホールディングス株式会社

SREホールディングスはもともとはソニーグループ内のソニー不動産が前身の会社になります。
社内で行ってきたDXのノウハウを不動産・金融業界に共有することで業界全体の底上げを担う、他社とは異なるDXを行った会社です。
その結果、経済産業省が行ったDX銘柄2021ではグランプリを獲得しています。

SREホールディングスでは、エージェント制を導入することで顧客満足の追求に力を入れており、顧客のニーズに応じたツールの開発を行ってきました。
例えば、過去の大量の取引データを元に、AIを用い、制度の高い不動産取引価格を自動的に査定する「AI不動産査定ツール」や、売買契約書や重要事項説明書の作成をスマート化する「不動産売買契約書類作成クラウド」などを始めとし、「AIマーケティングオートメーションツール」や「デジタルマーケティング支援」など、顧客満足を達成するために、これまでの情報とAIを組み合わせたツールの開発を行ってきました。
しかし、自社内部のAIやITの取り組みに力を入れていく中で、他の不動産会社から、ツールを使いたいという声があり、自社ツールの外販を行い始めました。
このツールでは先程の「AI不動産査定ツール」も含まれており、これま宅建免許を持った人が数時間かけて査定していたものを、膨大なデータをもとにAIが査定を行うことで、10分以内で査定結果を出すことが可能になりました。

このように、自社の顧客満足の為に作られたツールを競業他社や他の業界に販売することで、自社内だけでは収集できないデータを蓄積し、そのデータを持って顧客満足の為にツールの開発を行い、販売していく。
不動産とAIという分野で長けているSREホールディングスだからこそできるDXの活用方法で、新たな販路を築いている事例になります。

建設業:清水建設株式会社

「スーパーゼネコン」5社のうちの1社である清水建設も、DXを活用したサービスの提供を行っています。
建物自体にスマートフォンのようにOSを入れて、様々な設備を連携させてながらアップデートをするという「建物OS」という分野において、清水建設はとても力を入れています。

清水建設は1960年代から、空調照明制御用のソフトを自社で開発しており、自社内にシステムを作る事業部があることを強みとしてきました。
そして近年、制御な必要な設備が増えただけでなく、その設備それぞれにAIやロボットなどが実装され、利便性よりが高まってきました。
そこで清水建設では「DX-Core」という、これまで空調や入退管理、カメラ、照明、自動ドアといった、これまではバラバラに動いていた設備を、独自開発をしたAPIによって連携させ、一括管理を行うことが可能なシステムを開発し、建設業でも注目されるようになりました。

例えば新型コロナウイルス対策として、入り口に設置してある顔認証のある「入退館システム」、「空調設備」、「アラート機能」などを連携させ、熱のある人が入館した場合に、自動的に空調設備で換気量を増加させ、入館者の上長にアラート通知が行くような仕組みを作ることが可能です。
このように、利用者の利便性や安全性はもちろんですが、運用管理の効率化や「DX-Core」を導入することによって資産価値の向上を実現することが可能になります。

教育:トライグループ

CMなどでおなじみの「家庭教師のトライ」を運営するトライグループ。
そのトライグループが運用しているサービスが「Try IT」という映像授業サービスです。

これまでトライグループでは30年という長い歴史から様々な学習ノウハウは蓄積されていっておりましたが、生徒の効率を最大限に高め、生徒の習熟度に合わせて生徒をケアするという部分が課題として挙げられておりました。
そこで、まだオンライン学習が普及していない時代から、映像学習サービスの提供を始めました。
ただ単に映像を流し学習してもらうというものではなく、どのような生徒がどのようなタイミングでどのように学習しているかという、行動データを取得することができるようになり、テスト前により効率よく学習を行うことが可能になりました。

一見、映像授業サービスは録画した情報を流して、人件費などのコストを削減するという企業ににメリットが多いコンテンツのように感じますが、映像授業によって情報収集を行い、より精査された内容の授業を生徒ごとに提供することに注力できるようになり、顧客満足につながることができました。
また、トライグループでは、これまでの家庭教師や塾などだけではなく、オンライン授業に特化した教室の設立が行われたりと、新たなビジネスへと発展させていっています。

さいごに

基本的にどの企業も、ただ単にIT化を行っているわけではなく、IT化を行うことで、新たな事業拡大を推し進めるかに重きを置いている企業ばかりだと思います。
まだまだ日本はDX後進国です。
この記事が何かのきっかけになれば幸いです。

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